園長のつぶやき
「育ちと育て」
園長 西川昌宏
胎児に対しては、母親としても直接手を加えることは何もできません。その必要は全くないようにできているのです。遺伝子に書かれた指示通りに育つようになっています。むしろ、喫煙とかその他の薬物とか不摂生などで順調な成長を妨げることは可能です。しかし、より良くしたいと思っても何かを付け加えることはほとんどできません。
この原則は、出産後も同じことと考えるのがよいようです。つまり、子どもの成長発達に関し、親として妨げることはできても、子ども自身に備わっていないものを付加することはできない、ということです。熱心な親には、子どもに対する様々な期待があります。そのため、幼児期から特別な教育やお稽古事などを、よくさせたがります。しかし、下手をすると、かえってダメにしてしまうことがあります。その子に備わった才能は何なのか、それを見出してその力を刺激し引き出すようにすればよいのですが、その場合でも、あせって無理をさせると芽を摘んでしまうこともあります。“好きこそものの上手なり”ということわざがありますが、子どもが特別に興味や関心を示すことを大事にし、親の思いを押し付けないことが大切です。
だれにも個性があり、何かしらの特質はあるものですが、それは必ずしも才能といわれるようなものであるとは限りません。芸術やスポーツ、また知的な才能ではとりたてて目に付くものはないとしても、社会性の面で役に立つ資質があれば、生きていく上で困ることはありません。才能といわれる分野は、多分に遺伝的なもので、育て方でどうにかなるというものではないようです。それに対して、社会性とか道徳性などの人間的な面は、ほとんど育て方にかかわる分野で、親の責任が問われるところです。
あいさつについて考えてみましょう。あいさつのよくできる子と、そうでない子がいます。あいさつをするということは、人間関係の基本ともいえることです。その意味は、私はあなたの存在を認めます、ということだといわれます。お互いに存在を認めないことには関係は始まりません。個性として、積極的な人と消極的な人はありますが、正常な人はだれでも人との交わりを必要とし、求めています。人間は一人では生きられないからです。社会性を育てなければならないゆえんです。このあたりは一番親の影響を強く受けるところです。多くの人たちと上手に付き合っていく術は、乳幼児期から色々な人と触れ合うことにより身につけていきます。その意味では、わかくさの子どもたちは十分な環境にあります。それでもあいさつのよくできる子とそうでない子がいます。その違いは、どうも親の影響によるようです。ぜひ、家でもおはよう、いただきます、ありがとう、行ってきます、ただいま、お休みなさい、などの言葉掛けを、親の方から積極的に心がけるようにしましょう。